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授乳を拒否されたと感じたら・・・ ~乳頭混乱の防ぎ方・克服の仕方~

赤ちゃんは無条件におっぱいを飲むものだと考えていたのに、突然おっぱいを拒否されると焦ってしまうものです。今回は、(株)とらうべの助産師、宮里風葵さんに、おっぱい拒否の理由、そして対処法についてお聞きしました。
哺乳びん

おっぱいを拒否された・・・

「生まれてこれまで、一度もおっぱいに吸いついてくれない」
「ある日、授乳を拒否されるようになった」
このような状態だとママは、「母乳がキライなのではないか?」と感じたり、「わたしのことが嫌なの?」と感じたり、とてもショックでしょう。でも赤ちゃんが母乳やママのことがキライになってしまったわけではなく、この行動には赤ちゃんなりの理由があるのです。今回は、赤ちゃんがおっぱいからの授乳を拒否するとき、赤ちゃんがおっぱいに吸いつけないときの状況についてお話します。

おっぱいからの授乳を嫌がる理由とは?

授乳の様子を振り返ってみて、以下のようなことに心あたりはないでしょうか。
<理由>
  • あまりお腹が空いていない。逆にお腹が空きすぎている。
  • 赤ちゃんが寒すぎる、暑すぎる。
  • 抱かれ心地が良くない。同じ姿勢でいることで、どこかが痛い。
  • 口が乳房に届きにくい姿勢になっている。
  • 服やおくるみが、顔周りで邪魔になっている。
  • ゴム乳首での吸い方に慣れてしまい、マイブームになっている。
  • ママが身にまとっている香り(香水やクリーム等)に戸惑っている。
  • 乳房が張って硬い。乳輪のあたりが硬い。むくみがあって吸いつきが難しそう。
  • 母乳の出がとても少ない。
(ただし、本当に母乳が出ていない場合と、母乳不足感は違います。母乳が足りないと感じるときには、まず母乳不足感を乗り越えるを参照ください。本当に母乳が出ていないと判断できる場合には、医師や助産師と相談しながら必要な対策をしていきます。)
授乳をしようとするとき、誰よりも近くで赤ちゃんの様子を知ることができるのはママです。赤ちゃんが吸い付かないときの状況をよく観察して、対処法を考えていきましょう。

赤ちゃんが持つ「本能的な力」を発揮できるように

赤ちゃんは「反射」というカラダの反応の連続で、おっぱいを飲んでいます。「反射」とは、カラダがなにか刺激を受けたとき、無意識にその意味を処理して、反応としてカラダが動く一連のことをいいます。具体的には、乳首が頬や口の周りに触れるという刺激を受けると、「触れた方向を向き(探索反射)」、「おおきく口を開けて乳首をくわえ(捕捉反射)」、「舌を動かして乳首を吸い(吸啜反射)」、「ひとくち分が口にたまると飲み込む(嚥下反射)」という一連の反射が起こり、哺乳行動が成り立ちます。つまり、赤ちゃんは考えておっぱいを飲んでいるのではなく、反射的に飲んでいるのです。そのため、上記の<理由>であげたようなことがあると、反射を起こすための刺激を受け取れずに飲めないということが起きるかもしれません。もしくは、ほかの刺激が邪魔になっていたり、違う反射を起こさせてしまったりして、うまく飲めないということも考えられます。この赤ちゃんの本能的な力を発揮できる環境を整えることで、おっぱいをスムーズに飲めるようになる可能性があります。

哺乳びんからだと飲むのにおっぱいは嫌がる場合

赤ちゃんが今まではおっぱいに吸いつけていたのにも関わらず、おしゃぶりや哺乳びんを使ったあとにおっぱいに吸い付けなくなることがあります。こういった状況を「乳頭混乱」と呼ぶことがあります。 通常、一般的な哺乳びんでは、ゴム乳首を口に含むとすぐにミルクや母乳が口に流れ込んでいきます。そのため、早いうちから哺乳びんを使っている赤ちゃんは、お腹が空いているときすぐにゴクゴクと飲み始めることができる方を選り好みすることがあります。

おっぱいからの授乳ができないときの対策

もちろん、哺乳びんからでも、直接おっぱいからでも器用に飲める赤ちゃんはいますが、やっぱり楽な哺乳びんを選んでしまう赤ちゃんもいます。このような事実から、母乳育児を支援する専門家の中では「ゴムの乳首やおしゃぶりを与えないこと」ということが、通説になっています。しかし、うまく吸えるようになるまでにはお互いに時間がかかったり、ママと赤ちゃんが離れて過ごさなくてはいけない時があったりするでしょう。そのときには、哺乳びん以外にもグッズがあります。

おっぱい以外から飲むときには、赤ちゃんが混乱するのを避けるために配慮してあげましょう。まず、まだおっぱいからの授乳に慣れていないうちは、なるべくカップやスプーンでの授乳にしましょう。ただしこれには、ひとくちでたくさんの母乳が口に入らず、赤ちゃんのペースで飲むことができるように、多少のコツが必要になります。そのため、はじめは助産師などに手助けしてもらいながら行ってください。生後間もないうちは、1回に飲める量も少ないため、カップやスプーンでも対応できますが、ママの母乳量も増えてきて、カップ授乳が難しいと感じるときには、ゴム乳首などの授乳グッズを使うこともあるかもしれません。その場合にも、赤ちゃんの混乱を避けるために、以下のことに気を付けてみると良いでしょう。

  • 口の中に流れ込んでくる母乳の量や、くわえるもの(乳首)の形や硬さなどの特徴が、赤ちゃんがもつ本来の飲む能力(吸啜の仕方)に影響するといわれているため、なるべく赤ちゃんのペースで飲めるように工夫されたグッズを選ぶ。
  • ゴム乳首の出が良すぎて、飲むスピードが速くなってしまう場合には、途中で休憩を挟みながら、直接授乳のときと同じくらいの時間をかけて飲ませるようにする。
  • ママではなく、赤ちゃんを預ける可能性のある人と赤ちゃんで練習するようにする。 なぜなら赤ちゃんは、においにも敏感ですし、目で見たり、触れたりすることで、ママを「おっぱいをくれる存在」だと認識しているため、道具による授乳を嫌がってしまう可能性があるからです。道具を使った哺乳行動に慣れるだけでなく、ママ以外の人が授乳をすることにも慣れていくと良いでしょう。

もしも乳頭混乱をおこしたら

赤ちゃんがもし乳頭混乱を起こして、おっぱいから直接の授乳ができなくなってしまったとしても、必ず戻ってくることができることを信じて気長にやりましょう。2つポイントがあります。

  • 互いにリラックスする:ソファなどで少し後ろにのけぞって楽に座り、赤ちゃんがゆったりと胸の上で過ごせるようにしてあげましょう(リクライニング授乳)。赤ちゃんの反応を待って授乳をします。間違っても、胸の前で赤ちゃんと格闘したり、頭を押さえつけてくわえさせようとしたりしないようにしましょう。
  • 母乳を出やすくする:赤ちゃんが飲む力を発揮できるように、射乳反射が見られるくらいまで、搾乳をしておっぱいを刺激しておくのも良いでしょう。赤ちゃんを胸の上に抱いたら、少し母乳をにじませてあげるとよいでしょう。<理由>であったように、お腹が空きすぎているとき、おっぱいや乳輪が張って硬くて飲んでくれないときにも、この方法が役に立ちます。

まとめ

赤ちゃんがどのように飲むのかをよく観察して、赤ちゃんの哺乳行動のためのカラダの仕組みに沿った授乳をこころがけることで、赤ちゃんはおっぱいに吸い付きやすくなります。実際には、おっぱいの前で赤ちゃんに泣かれると、ママも緊張してしまったり、落ち着けないこともあるでしょう。どうしてもうまく飲めないときでも、搾乳した母乳を飲ませることで母乳育児が続けられます。助産師など母乳育児支援者にみてもらいながら、乗り越えていきましょう。
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(株)とらうべ 助産師・宮里風葵さん
総合病院に助産師として勤務後、現在は(株)とらうべにて、母乳育児を含めた育児相談や、タッチケアの講師として活躍中。

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